身体の使い方よりも大切なこと
こんちこれまた、川浪です。
僕は「音楽家のための身体の使い方」と銘打ってレッスンを行っています。
このレッスンで伝えている内容は、自分の演奏を向上させたいと思う、全ての音楽家にとって役に立つ内容ですし、今後も伝え続けていくつもりです。
しかし、身体の使い方を改善すれば、すべての問題が解決するというわけではありません。
一つの限界は、体の構造的な問題です。
構造とは、体格の個人差や、骨格の歪み、筋膜の固まりなど、物理的な問題です。
個人差については、ハナからどうしようもないので、問題にしても仕方がありません。
歪み等に関しては、身体の使い方を改善すれば、改善されていきますし、短期間で改善したい場合は、施術などの方法もあります。
では、身体の使い方よりも、大切な問題とは一体何かというと、「どんな音楽がしたいのか」ということです。
演奏というのは、頭の中に流れている音楽を、身体や楽器を通して、実際の音として表現することです。
このレッスンで伝えている「身体の使い方」は、頭の中のイメージを、より忠実に再現するための手段です。
本当はこんな風に演奏したいのに上手く演奏できない、といった場合や、無理やりそれを再現しようとして、痛みを感じたり故障してしまった場合は、身体の使い方を改善することで、その問題も解決できます。
しかし、どんな演奏がしたいのか不明確な場合は、それをどんなに上手く再現しようとしても、そもそもイメージが不明確なので、身体も上手く使えません。
レッスンでは、「どんな音楽がしたいのか」については、ほぼノータッチで、生徒さんに任せていました。
しかし、最近は僕自身のセルフイメージが「身体の使い方の教える人」から「よりよい音楽を奏でるサポートをする人」と変わってきたこともあり、「どんな音楽がしたいのか」部分にもアプローチしています。
こう言うと、音楽のレッスンみたいに、「こんな風に演奏してください」という指示をイメージされるかもしれません。
そうではなくて、あなたがどんな音楽がしたいのか、そのイメージをクリアにするために、コーチング的な要素を取り入れています。
(コーチングとは、答えを教えるのではなく、コーチが適切な質問を投げかけることにより、その人の中にある答えを引き出す手法です)
これは単に演奏技術的な問題ではなく、どんな表現をしたいのか、どんな状況で演奏するのか、場所、編成、シチュエーションなどなど、様々な要素が関係しています。
具体的な事例は、また次回以降のブログで紹介したいと思います。
このブログを読んでいるあなたは、自分の演奏を向上させるために、身体の使い方も学びたいという、とても熱心な方だと思います。
そんなあなただからこそ、身体の使い方を考えるだけでなく、今一度、どんな演奏をしたいのかを考えてみるのも、よいのではないでしょうか。