〇〇の状態が、相手に影響を与える、という話
こんにちは、川浪です。
現在、僕のレッスンノウハウを半年間かけてお伝えするマスターコースを開催しています。
今回は、そのコースでお伝えした話を紹介します。
そもそも、このレッスンの目的は何か、というと、生徒さんの演奏を向上させる、ということですよね。
そのためには、これさえやればいい、、、という話ではありません。
何が必要かは一人一人違いますし、それを伝えるための手段やアプローチもたくさんある、ということは、いつもお読みいただいている方なら、ご理解いただいていると思います。
で、このコースでは、その「あの手この手」の全体像をお伝えしているのですが、実は、そういったレッスンテクニックよりも、もっともっと重要なことがあります。
それは何かと言うと、今、自分がどんな状態でレッスンしているか、ということです。
コースでは、参加者の方に、実際にレッスンをしてもらう実習がありますが、そこでまずやってもらうことは、生徒さんと対峙している自分の身体に意識を向けてもらうことです。
先程もお伝え通り、レッスンで何を伝えるかは、生徒さんによって異なります。
ですから、これさえやっておけばいい、というレッスンではなく、生徒さんがどんな状態であるかということを観察する必要があるのですが、そうするとほとんどの人が、意識の全てが生徒さんに向いてしまい、自分自身への意識が抜けてしまいます。
ちょっと話はそれますが、個人レッスンで演奏をみていく時も、自分の身体を観察しましょう、というところから始めていきます。
演奏するときも、弾くことばかりに意識が向いていて、案外、自分の身体に意識が向いていないからです。
レッスンをするときも、やはり同じことですね。
まずは自分の身体に意識を向けることが重要になってきます。
実際、やってみるとわかるのですが、実は自分の意識状態が変われば、それは目の前の生徒さんにも影響します。
それだけで、生徒さんの身体の使い方が改善することも、よくあります。
話だけだと、信じられないかもしれませんが、コース内では、ほとんど全員が、それを実感できていました。
しかし、これは何も不思議な話ではありません。
自分の状態が、相手に影響を与えるというのは、よくよく考えてみると、当たり前の話です。
例えば、楽しそうな人と一緒にいたら、こちらも楽しくなりますし、イライラしている人と一緒にいたら、いい気分はしませんよね。
それをさらにずっと突き詰めていけば、生徒さんの身体の使い方にまで影響を与えられるようになります。
ですから、レッスンする上でも、まずは自分の状態を観察することから初めてくださいね、というわけです。
ちなみに、これは、アレクサンダーテクニークのレッスンに限った話ではありません。
例えば、誰かと一緒に演奏するときも、自分の状態が、相手に影響を与えているのです。
これまで演奏をしてきて、一緒に演奏しやすいなぁ、という人と、そうでない人がいますよね。
これは演奏技術とは、また別の話で、例えば、この人はすごい演奏技術があるけど、どうも合わせにくいなぁ、という場合もあります。
こういった事が起こる、一つの要因が、自分の状態が、相手に影響している、ということですね。
逆に言えば、自分の方から、一緒に演奏する相手に、良い影響を与えることも出来るわけです。
僕のレッスンに来ている方で、オーケストラのチェロの主席をつとめる方が、自分の演奏が変わることで、チェロパート全体の響きが変わったということをおっしゃっていましたが、そのようなことが実際におこります。
多くの方が、全く一人で演奏するよりも、誰かと一緒に演奏することが多いと思いますし、もちろん共演者だけでなく、お客さんにも影響を与えているわけです。
というわけで、自分自身の演奏に役立てる、に限らず、自分の身体の使い方に、意識的になるということは、とてもとても重要です。
ぜひ色々な場面で、この事を思い出してみてください。