あがり症の音楽家が緊張しないために知っておきたい3つのこと
こんにちは、川浪です。
「人前に出るとプレッシャーを感じてしまい、普段どおりの演奏ができない」
このように悩んでいる音楽家は、たくさんいます。
ドキドキが止まらなくなり、手や足が震えたり、中には不安で頭が真っ白になる方もいるでしょう。
今回は、そもそも、なぜ緊張してしまうのか、その原因を考え、緊張した時に起こる症状を3つに分類し、それぞれの対策を考えていきます。
目次
なぜ本番で緊張してしまうのか
「自分はあがり症だ」「過度の緊張しいだ」という方でも、いつも、どんな時でも緊張してしまう、というわけではありません。
緊張するのは、特定の場面に限られるはずです。
例えば、人前で演奏する時、大事な発表会や試験、コンクールで演奏する時、ソロが苦手な人や、逆に伴奏が苦手な場合もあると思います。
その場面は、普段一人でリラックスして演奏している時とは、全く状況が違います。
場所も違うし、見ているお客さんもいるし、照明も当たっているかも知れません。
このように周りの環境が変われば、そこから、普段とは違った刺激を受けます。
その刺激に対してどのように反応するかは、人それぞれ違いますが、その反応が演奏にとってマイナスに働いてしまうことが、緊張している、という状態になります。
緊張した時に起こる反応を3つに分類すると
緊張した時に起こる反応は様々です。
どのように対策を取ればいいかは、それぞれ異なります。
全部をひとくくりにして、対策することはできません。
ここでは、緊張したときの反応を「生理的」「心理的」「身体的」と3つに分けて考え、それぞれの対策について考えていきます。
生理的な反応について
緊張すると、
・心拍数が上がってドキドキする
・汗が止まらなくなる
・体温が上がるor下がる
といった、反応が生理的な反応です。
これらは、自律的に起こってしまう反応で、基本的には、意識的にコントロールすることはできません。
ですから、これらの反応を何とかするのは難しいです。
実は、生理的反応は、必要なことでもあります。
舞台に立って演奏するということは、普段よりもエネルギーが必要な場面ですから、心拍数をあげて身体を活発に動かそうとする等は、ある意味、正常な反応です。
ですから、生理的反応については、無理にコントロールしようとする必要はありません。
では、残りの2つの反応も見ていきましょう。
心理的な反応について
いざ、ステージに立とうとすると
・失敗したらどうしようと、不安で頭がいっぱいになる
・周りからどう思われるだろう、と自信を失くす
・とにかく頭が真っ白になってしまう
などが、心理的な反応です。
こういった反応に対して、一般的にはメンタルトレーニングが有効とされています。
例えば、「自分がうまく演奏している姿を強くイメージする」とか「失敗しても大丈夫、気にしなくて良い、と自分に言い聞かす」とか。
はたまた「お客さんをカボチャと思え」なんてことを言う人もいます。
こういった方法が有効なこともありますし、実際に緊張しない人はそのように考えている場合もあります。
しかし、そう言われて、そう思えるのであれば、初めから緊張で悩んだりしないはず。
実際には、なかなか効果が出しづらいというのが、現実です。
では、どうすればよいのか。
最後の身体的な反応について、みていきます。
身体的な反応について
身体的な反応とは、
・身体が固くなってしまう
・手や指、口が震えてしまう
・思わぬ動きをして、ミスしてしまう
等です。
緊張して、いちばん困るのは、普段と同じ演奏ができない、ということなのです。
結局の所、ドキドキしていても、不安でいっぱいだとしても、身体がふだんと同じように動いてくれれば、ふだん通りの演奏ができます。
では、緊張している時には、一体、身体にどんな反応がおこるのでしょうか。
逆説的ですが、緊張しているときには、ふだんの身体の癖が、より強くでてしまいます。
最初に説明した通り、本番で舞台やステージに立つと、いつもよりも、強い刺激を受けます。
その刺激に対して身体も反応するのですが、もしあなたがいつも指に必要以上に力を入れる癖があった場合、ふだんリラックスしている時なら、それをうまくコントロールできていたとしても、いざステージに立ってしまったら、そんなに悠長なことは言ってられません。
とっさにいつものクセで、必要以上にグッと力が入ってしまったり、それが行き過ぎると震えてしまったりするわけです。
ですが、身体的反応は、心理的反応に比べると、手放すの簡単です。
心理的な反応は、頭の中で起こっているので、取り出して見ることはできませんが、身体の反応は、見ることも触ることもできます。
ビデオで撮影すれば、本番で緊張している時に、身体にどんな反応が起きたのか確認することもできますし、演奏前であれば、自分の身体に触れて、どこに力が入っているか確認することだってできます。
そうして、自分の身体の反応に気づいて、それを手放すことができれば、ドキドキしていたり、不安を感じていたりしても、ふだんと同じような演奏ができるようになります。
そういった経験を繰り返せば「緊張していても、ふだん通りの演奏が出来るじゃないか」と思えるようになってきます。
その結果、心理的にも楽になり、緊張せずに演奏を楽しめるようになってきます。
まとめ
本番で緊張してしまう、という方は、生理的、心理的な反応ではなく、まずは演奏している時の、自分の身体の反応に目を向けて見てください。