アレクサンダーテクニーク

人体展で学んだこと


こんにちは、川浪です。

先日、上野の国立科学博物館で開催中の人体展に行ってきました。

特に印象に残ったのは、解剖学の歴史です。

実は紀元前から既に解剖は行われていて、視神経も既に発見されており、心ではなく、目と脳に何らかの関係があるということは推測されていたそうです。

それから、しばらくは目立った進歩はなかったようですが、ルネサンス期以降に、次々と新しい発見があったとのこと。

僕は仕事柄、人体の運動に関する分野には馴染みがありますが、それ以外にも、消化の仕組みや、胎内での話など、初めて聞くような話ばかりで、新鮮でした。

ふだん生活する限りは、体のことなんて、ほとんど意識しませんが(せいぜいケガとか病気をしたときくらいですよね^^;)人体については、本当に色んなことが明らかになってるんですね。

にもかかわらず!

僕はこれまで、音楽家の身体の使い方をレッスンするにあたって、様々な楽器の、いろいろな指導法に触れてきましたが、なんとも根拠のない指導がはびこっているのが現状です。

解剖学的にありえないような説明が、21世紀になっても、まだまだたくさんあるんですよね。

スポーツでは昔、練習中に水を飲まない、とか、うさぎ跳びとか、スポ根アニメのようなことが平気で行われていましたが、今どき、そういったことはかなり減っていると思います。

しかし、音楽の世界は、まだまだそのようなレベルから抜け出せていないというのが実感です。

音楽と言えば芸術、という観念が強いのでしょうか。

こと身体に関しては、科学的に物事を考えるという方がほとんどいないのでしょうね。

何度も書いている例ですが、胸式呼吸がダメ、というのは、全く根拠がありません。

個人的な体験ですと、最近、新しいピアノの先生についたのですが、同じ曲を弾いているのにも関わらず、前の先生は、手首を下げろと言っていたのに、新しい先生は、手首を上げろと言っています。笑

こういう矛盾した指導を受けることがあっても、僕自身は身体の仕組みを把握しているので、何が正しくて、どうすればよいのか、ということが自分で判断できます。

しかし、残念なことに多くの方は、身体の仕組みについて学んだことなどありませんから、先生の言われた通りにやるしかありません。

たまたま上手くいけばよいですが、言われたとおりにやっているのにどうしても上手くいかないということも多々あります。

また自分では問題ないと思っていても、本当はもっと効率的に演奏できる可能性もあります。

若い頃はがむしゃらに演奏していても問題なかったが、ある程度年齢を重ねるうちに、それでは対応できなくなり、僕のレッスンを受講される方もたくさんいます。

僕たちには、紀元前から積み上げられてきた、解剖の知識というものがあります。

それを活かさないのは、本当にもったいないことですね。