村上春樹に学ぶ、身体の緊張の手放し方
こんにちは、川浪です。
村上春樹の最新刊「騎士団長殺し」を読み終みました。
僕は高校生の頃から、村上春樹の大ファンで、確か最初に読んだのは「ねじまき鳥クロニクル」だった気がします。
その後、全ての長編とほとんど短編を読みましたし、「海辺のカフカ」以降は新刊が出る度に読んでます。
というわけで今回も、もちろん購入して読んだわけですが、何も書評や感想を述べたいわけではありません。
本文中に、僕がレッスンでいつもお伝えしているのと、同じ内容のセリフがあったので、今回はそれを紹介しようと思います。
(全くネタバレにはなっていないので、未読の方もご安心ください。笑)
次のセリフです。
「人が何かを考えるのをやめようと思って、考えるのをやめることは、ほとんど不可能だからだ。
何かを考えるのをやめようと考えるのも考えのひとつであって、その考えを持っている限り、その何かもまた考えられているからだ。
何かを考えるのをやめるためには、それをやめようと考える事自体をやめなくてはならない」
これについて、もう少し詳しく説明します。
まず、レモンを例にとってみます。
レモンって知ってますよね?
黄色くて、すっぱい果汁の果物です。
さて、このレモンについて、、、
考えるのをやめてみてください
。。。と言われても、無理ですよね?
すでにレモンのことが、頭に浮かんでいると思います。
レモンのことを思い出して、ツバが出てきたかもしれません。笑
レモンの事を考えないようにしようと思えば思うほど、レモンのことが頭から離れないはずです。
このように、人間の脳は、否定形で物事を考えることができません。
否定しようとすると、一度その物事を考える必要があります。
つまり、どれだけ否定しようと思っても、それは不可能だということです。
実は、演奏時にも、同じようなことが起こっています。
例えば、どうしても変な力が入ってしまうから、それをやめたい、、、と考えても、ほとんどうまくいかないでしょう。
あるいは、本番で緊張しないように、、、と考えても、緊張を手放すことはできません。
これらは、全て同じ仕組みです。
やめようと思えば思うほど、そのことを考えてしまっているのです。
では、レモンのことを考えないためにはどうすればよいでしょうか。
それは簡単です。
例えば、リンゴのことを考えてみてください。
その間は、レモンのことが頭から離れるはずです。
つまり、それを考えたくなければ、別のことを考えればよいのです。
とはいえ、演奏中にリンゴのことを考えても、あまり効果的とは思えませんよね。
では、何を考えるかというと、本当に必要なことは何か、ということです。
例えば、演奏中に肩に力が入ってしまう、とします。
楽器にもよりますが、大抵の場合、肩に力を入れても、それ自体で音が出るわけではありません。
だからといって、それをやめようとしても、うまくいかないのは、さっき説明したとおりです。
では、どうすればよいかというと、音を出すために必要なことは何かを考えてみてください。
何が必要というのは、場合によって異なりますので、こうすればいいと、一概に言えませんが、レッスンでは、
どんな音を出したいのか→そのためには技術的にどのようなことが必要なのか→そのためには身体をどのように動かす必要があるのか→そのためにはどの筋肉が働く必要があるのか
という順序で、導き出していきます。
余計な力が入っているなと気づいたら、必要なことが明確にして、そちらに意識を向けてみる。
そうすることで、余計な力をやめようと思わなくても、結果的にそれを手放すことができるようになります。
一人でやるのはなかなか難しいかもしれませんが、できないわけでもありません。
追伸
「騎士団長殺し」は途中までは本当に面白かったのですが、終盤、失速感がありました。
でも、どんなに期待を裏切られても、新刊が出たらまた買ってしまうと思います。笑