アレクサンダーテクニーク

楽器のメカニカルな練習は本当に必要か?


こんにちは、川浪です。

ネットでピアノに関する記事を読んでいると「ハノンはやるべきvsやる必要なし」みたいな議論をよく見ます。

ハノンとは、メカニカルな基礎トレーニングですね。

ピアノに限らず、すべての楽器で、メカニカルな練習があります。

こういう練習に対する、よくある批判が「実際の演奏では使わない」というもの。

あくまでも僕個人の意見ですが、身体の使い方という観点で見ると「実際の演奏では使わない」からこそ意味がある、と思っています。

レッスンで、いつもお伝えしていることですが、人は、ほっておくと、いつもの癖の範囲でしか、身体を使いません。

身体には、稼働できる範囲がたくさんあるのに、限られた部分しか使わないということです。

同じ演奏をする場合でも、できるだけ身体全体を稼働させたほうが、よい演奏になります。

身体の稼働率をあげるためには、ふだん使わない身体の動きをやってみるというのが、非常に効果的です。

メカニカルな練習は、まさにそれに当てはまります。

「実際の演奏では使わない」からこそ、ふだん稼働していない部分を意識するようになるんですね。

僕は、自分自身の身体の稼働率をあげる取り組みとして、様々な楽器を演奏したり、ふだんから身体を動かすようにしています。

面白い話ですが、例えば、ピアノを練習していて、自分の新しい身体の使い方を発見すると、それがドラムにも良い影響をおよぼしたりします。

現在、ドラム、ギター、ピアノ、歌、サックスと取り組んでいますが、それぞれの楽器の理解が深まるだけでなく、その楽器だけに取り組んでいただけでは絶対に気づかなかったようなことに、気づくことがあります。

そんなわけで、身体の使い方の専門家として、より身体の可能性を知るために、ダンスが有効じゃないかと、にらんでいるのですが、さすがにそこまでする余裕がありません。笑

(ちなみに、近々、バイオリンを始めようと思っています)

まぁ、身体の使い方の専門家を目指すわけではなく、自分の演奏をよくすることが目的であれば、そこまでする必要はまったくありません。

ですが、その楽器の定番の基礎練習であれば、曲で使わないからといって、やらないのはもったいないのではないでしょうか。

何をするにも、目的が重要です。

基礎練習を、曲で使う云々ではなく、身体の稼働率をあげるためと、とらえ直してみれば、また違った気づきが得られるのではないでしょうか。