アレクサンダーテクニーク

楽器のレッスンと身体のレッスンの違い


こんにちは、川浪です。

前回は、楽器のレッスンにおける、身体の使い方の指示が、なぜわかりにくいのか、ということについて書きました。

今回は、それを踏まえて、楽器のレッスンにおける身体の使い方の指示がどうあるべきか、ということについて、考えていきます。

まずは初級編。

結論を先にいうと、「身体の使い方は諦める」です。

「そんな無茶な」と思うかもしれませんが、大真面目です。

楽器の先生は、必ずしも、身体のことについて、熟知しているわけではありません。

一般の方と同じように、たくさんの誤解を持っているケースも、非常に多いです。

前提知識が欠けているにも関わらず、正しいことを伝えられるわけがありません。

むしろ、間違ったことを伝えて、演奏に弊害をもたらす可能性もあります。

ですから、自分は、身体のことについて、きちんと理解できていない、という自覚があるなら、無理に身体のことは伝える必要はありません。

では、何も伝えることはないかというと、そうではありません。

実際に演奏して、お手本を示せばいいのです。

初級編としては、それで十分です。

生徒の立場としては、先生がおかしなことを言っていたら、無視すればよいです。

実際、僕自身も、たくさんのレッスンを受講してきましたが、楽器の先生が身体の使い方についておっしゃることは、どうも間違っていると思われることが、多々ありました。

その場合、表面上は従っているふりをしますが(笑)、実際は、まったく無視しています。

そうではなくて、どういった演奏表現を求めているのか、ということに注目します。

身体の使い方は、結局のところ、自分が出したい音を出すための、手段でしかありません。

楽器の先生は、どう演奏すればよいか、というゴールを示すことについては、専門家であるはずです。

しかし、そのゴールを達成する手段である、身体の使い方については、必ずしも熟知しているわけではありません。

例えるならば、英語の先生に、数学も教えてもらおうとしているようなものです。

中には、両方教えられる先生もいるでしょうが、極めて稀でしょう。

かくゆう僕自身も、身体の使い方については、胸を張って専門家と言えますし、ドラムのレッスンも行っていますが、他の楽器について同じレベルかと言われるとそうではありません。

(なので、僕は、ここ数年、ピアノ他、いろんな楽器に取り組んでおり、まだまだ専門家には程遠いですが、レッスンには良い効果が現れています)

というわけで、初級編としては、楽器のレッスンと、身体の使い方のレッスンは、科目が違うのだと認識しておいてください。

そこそこ長くなってきたので、続きは次回で。

次回は、楽器のレッスンで、身体の使い方を伝えるときに、どういったことに注意すればよいのかについて、書いていきます。