演奏での不安が手放せない理由
こんにちは、川浪です。
前回の記事で、「余計な考えが、身体の緊張となる」ということを書きました。
余計な考えとは、
「失敗したらどうしよう」
「上手くいくか心配」
「下手くそと思われないだろうか」
「これで本当に正しいのだろうか」
など、演奏するにあたって、あまり役に立たないようなことです。
一般的なメンタルトレーニングでも、「このような考えは役に立たないので、手放しましょう」と伝えています。
しかし、前回も書いたとおり、手放そうと思って簡単に手放せるなら、誰も苦労しません。
なぜ、余計な考えを手放すのは難しいのでしょうか?
理由は、脳の機能にあります。
人の脳は、肯定的にしか、物事を考えることが出来ません。
よくある例えですが、「レモンのことを絶対考えないで!」と言われると、どうしてもレモンのことが頭に浮かんでしまいます。
脳は肯定的にしか考えることが出来ないので、レモンを考えないためには、まず一度レモンのことを思い浮かべてから、それを必死に打ち消そうとするわけです。
つまり、「不安を手放そう」と思えば思うほど、不安を感じてしまうということです。
では、どうすればレモンのことを考えずに済むかというと、リンゴのことを考えればいいわけです。
別のことを考えている間は、レモンのことを考えずにすみます。
だから、不安が起こった時は、楽しいことを考えよう、とか、上手くいってる場面をイメージしよう、といわれたりします。
しかし、やはりこれも難しいです。
レモンやリンゴならまだしも、失敗→成功と真反対にイメージを書き換えるのは、ハードルが高いです。
では、どうするかというと、考えを手放すのではなく、身体の緊張を手放すことに意識を向けるのです。
そもそも、なぜ余計な考えを手放したいかというと、それが身体の緊張につながって、うまく演奏できないからでした。
不安や怖れが浮かんだ時には、必ず身体のどこかに緊張が生まれています。
まずは、それに気づくこと。
そして、その緊張を手放すことに意識を向けます。
(この方法はまた改めて書きます)
身体の緊張は、考えと違って、目に見えるし、触ることもできるので、手放しやすいです。
余計な考えが体の緊張を生み出していたので、身体の緊張を手放せば、同時に余計な考えも手放すことができるわけです。