演奏における正しい姿勢とは
こんにちは、川浪です。
演奏をしていると、姿勢のことを気にする方は多いです。
「姿勢をよくしようと頑張っているんですが、疲れてしまいます」
といった話をよく聞きます。
一般的には、良い姿勢=背すじをのばす、とされています。
では、背すじをのばすのが、本当によいことなのでしょうか?
結論からいうと、ほとんどの場合、背筋をのばすのは、よいことではありません。。
こういう話になると、「背すじをのばすのはよくないから、猫背が正しい」と指導される方もでてきます。
しかし、これもあまり役に立ちません。
この二つは、どちらも同じ前提を持っています。
それは、「正しい姿勢はこうあるべき」という発想です。
極端に言うと、「演奏する時に最高のパフォーマンスをするためには、これが絶対正しいという、姿勢、位置、ポジションがある」と思い込んでいるのです。
そんなわけないということは、少し考えれば誰でもわかります。
まず、体の大きさや、筋肉の量などは、個人差があります。
しかし、楽器の大きさは、同じです。
ということは、これが正しい姿勢など、ないことがわかります。
では、個人を特定すれば、正しい姿勢が決められるのではないか。
これも、難しいです。
同じ人でも、演奏する曲やフレーズによっても、必要な動きは変わってきます。
そうすると、その時々で、よい姿勢というのも変わってくるはずです。
つまり、「正しい姿勢はこうあるべき」という発想そのものが、根本的に役に立たないということです。
では、どのように発想を転換させればよいでしょうか。
僕のレッスンでは「体全体が自由に動けるように意識する」とお伝えしています。
本来、身体には、必要な動きを自然と行える機能が備わっています。
ほとんどの人が、余計な思い込みや、勘違いによって、その機能が損なわれている状態にあります。
アレクサンダーテクニークのレッスンで目指すのは、その体の働きを取り戻すことです。
そうすることで、「正しい姿勢」をいちいち考えなくても、姿勢は自然とよいところにおさまってきます。
まとめると、「正しい姿勢」を考えることは、ほとんど役に立ちません。
それよりも、体全体が自由に動ける「状態」を意識するように、発想を切り替えることで、姿勢のことは、ほとんど気にしなくてもよくなります。