演奏のためにストレッチはしたほうがいい?
こんにちは、川浪です。
日々、レッスンをしていると、
「ストレッチってしたほうがいいですか?」
という質問を、よく受けます。
一般的には、ストレッチした方がいい、というイメージを持っている人が、多いのではないでしょうか。
楽器のレッスンでも、よく「ストレッチしましょう」と言われると思います。
ただ、僕の考えとしては、特にストレッチは推奨していません。
理由を、説明します。
1つ目は、スポーツ科学では、運動前にストレッチすると、パフォーマンスが下がる、という研究が、けっこうあります。
これは僕の実感とも、合致しています。
演奏も、身体を動かすという意味では、スポーツと同じようなものです。
そう考えると、わざわざストレッチする必要はないかなと思います。
2つ目は、演奏するのに極端な柔軟性は必要ない、ということです。
ダンスや体操なら、話は別です。
日常生活では絶対やらない姿勢を維持する、ということもありますよね。
しかし、演奏では、姿勢そのものが目的になることはありません。
演奏上の悩みはたくさんありますが、これまでレッスンしてきた限り、柔軟性が問題になっているケースは、ほぼありません。
というわけで、楽器演奏を向上させるためには、わざわざストレッチをする必要はない、というのが僕の考えです。
じゃあ、その代わりに何をすればいいかと言うと、単純に身体を動かす、ということです。
ポイントは、ただ動かすのではなく、身体の可動範囲の全てを使う、ということです。
断言しますが、あなたは、自分の身体の可動範囲の中の、ごくごく限られた部分しか使っていません。
楽器演奏に必要な身体の動きは、とても複雑です。
しかし、よくよく考えてみると、動かす範囲は、とても限られています。
例えば、どの楽器でも、手を胴体より後で、動かすことはありませんよね。
すべての楽器が、手を胴体より前側で動かして、演奏します。
(曲芸的な演奏は除いて)
他にも、バンザイしたり、腿上げをしたり、ブリッジしたり、といった動きは、演奏に限らず、日常生活でも、ほとんどすることがないはずです。
このように、演奏でも、日常生活でも、身体の可動範囲のすべてを使っているわけではなく、ごく限られた範囲しか使っていません。
使っていない動きがあると、それに関わる筋肉がうまく働かなくなったり、不必要に固めてしまうといったことが、起こりやすいです。
そして、演奏に使わない動きでも、その動きが制限されていれば、演奏に必要な動きを制限する原因になることがあります。
結果的に、手や腕が動かしにくくなったり、呼吸がしにくくなったり、ということが起こります。
そうならないためには、演奏に必要のない動きでも、ふだんから動かしておく、ということが有効です。
ストレッチのように、無理に伸ばしたりする必要はありません。
身体の構造を学び、自分の身体の可動範囲を確認した上で、それをまんべんなく動かしてみてください。
それだけでも、ずいぶん演奏しやすくなるはずです。
ぜひ試してみてください。