アレクサンダーテクニーク

演奏姿勢を変えようとする前に、取り組むべきこと


こんにちは、川浪です。

前回は、僕がレッスンで一番伝えたいことについて書きました。
今回から、レッスンの具体的内容に入っていきます。

演奏時の身体の使い方を改善していくにあたって、まず最初にやることは、自分の身体を観察してみる、ということです。

一般的なエクササイズやトレーニングでは、あまりこういうことは言いません。

正しい姿勢やフォームが、あらかじめ指定されていることが多いです。

楽器のレッスンでも、そうですよね。

どんな楽器でも、教則本の最初のページに「正しい演奏姿勢」が写真入りで掲載されていることが多いです。

しかし、よくよく考えてみると、これはおかしなことです。

万人に共通の正しい姿勢というのは、本当に存在するのでしょうか?

一般的に、楽器の大きさは、共通しています。

しかし、それを演奏する人の身体は、まったく異なります。

小さな子どもから、大きな大人まで、ありとあらゆる人が音楽を演奏します。

例えば、ピアノで考えてみましょう。

手は卵一個入るように構えましょう、なんていい方がよくされますが、手の小さい子どもと、僕のように手の大きい大人が、はたして同じ構えでいいのでしょうか。

普通に考えたら、そんなはずないですよね。

ですから「正しい姿勢」というのは、そもそも存在しません。

もう一つ考えて欲しいことは、元々の身体の癖も、人それぞれ違う、ということです。

例えば「背筋を伸ばしましょう」という指示について。

(ちなみに、僕のレッスンでは「背筋を伸ばしましょう」とは絶対言いませんが、今回はそれは置いといて、話の例えとして受け取ってください)

もし背すじを丸めがちな人であれば、背すじを伸ばすことで、何かいいことがあるかもしれませんよね。

しかし、元から背すじを伸ばしがちな人であれば、それ以上がんばって背筋を伸ばせば、おそらく逆効果です。

つまり、これから身体の使い方を変えていくにあたって、まず自分がどのように身体を使っているのかを観察することなしにやったとしたら、完全に運任せ、まったく再現性のないものになってしまいます。

付け加えると、これって楽器のレッスンでよく起こっていることです。

楽器の先生は、必ずしも、身体のことを理解しているわけではありません。

ですから、自分の経験で上手くいった方法を、生徒にも指示します。

そうすると、なにが起こるでしょうか。

先生と同じ傾向を持っていた生徒であれば、同じように効果がありますが、そうでなければ効果がない、あるいは逆効果になります。

ですから、先生の指示通り、同じようにやっていたとしても、うまくいく生徒と、そうでない生徒が出てしまいます。

そういうわけですので、これまであなたが先生の指示通りにしてきたのに、上手く演奏できなかったとしても、気を落とさないでください。

僕のレッスンを受講されている生徒さんは、身体の使い方を学んでいくことによって、これまで理解できなかった先生の指示がよくわかるようになった、という方が何人もいます。

その第一歩として、まずは自分の身体の使い方を観察する、というところから始めましょう。

具体的にどのようなことを観察するかについては、次回以降、お伝えします。

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2017年6月24日(土)10時~

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