アレクサンダーテクニーク

管楽器でリズム感のある演奏をするための身体の使い方


こんにちは、川浪です。

先日、フルートの方へのレッスンでのこと。

僕のレッスンでは、今日は何をするというカリキュラムが決まっているわけではなく、その日の生徒さんの状態を見て、それぞれの演奏の課題に対して、一番ネックになっていると思われるところをピックアップしてお伝えします。

その生徒さんは、立奏していると股関節を固めているのが見えました。

股関節とは、骨盤と大腿骨(太ももの骨)の関節です。

「Albinus on Anatomy」より引用

ここが脚の付け根ですが、実際に確かめてみると、思っていたより下に感じる方が多いのではないかと思います。

というのも、股関節は、筋肉や皮ふに覆われていて、直接触ったり、見たりすることが出来ません。

また、ズボンやスカートのウェスト部が、脚の付け根だと思っていた方も多いと思います。

骨格で見た時に、いわゆるウェストのあたりは、骨盤の上の方で、関節ではありません。

そのような思い違いが、身体を固めてしまう原因の一つとなっています。

(こういう考え方をボディマッピングと言います。詳しくはこちらの記事を参照)

レッスンでは、股関節に関する正しいイメージをお伝えして、そこを実際に動かしたりして、固めていた状態を手放していただきました。

その状態で、再び演奏してもらうと、吹きやすくなっただけでなく、自然とリズムを感じられる演奏になっていました。

演奏を聴いている僕だけでなく、演奏している本人もそのように感じられたのです。

レッスンをしていて、身体の不必要な緊張を手放してから演奏すると、演奏にリズム感が増すということは、よくあります。

なぜなのか、というのは、はっきり分かりませんが、僕なりの解釈を述べると、リズムというのは、身体の動きとして起こるだからではないでしょうか。

西洋と東洋で、リズムが違うというのは、よく言われますが、実際にそのリズムを生み出す身体の動きも、明らかに違いますよね。

ピアノやドラム、弦楽器などは、演奏のための動きと、リズムが直結しやすいですが、管楽器の場合は、少し違います。

では、どうやってリズムを感じさせるかというと、身体全体の動きとして、それを行う必要があります。

かといって、身体を大きく動かすことも不自然ですよね。

そうではなくて、不必要な身体の緊張を手放したら、音楽に合わせて自然と身体が動き、リズムを感じさせるような演奏になるのだと思います。

なかなか言葉で説明するのは難しいのですが、そういう状態を経験したことがある方であれば、あぁ、あの感じか、と納得いただけるのではないでしょうか。

ここで、注意してほしいことは、股関節をゆるめたら、リズム感のある演奏ができるようになる、ではないということです。

あくまでも、不必要な身体の緊張を手放せば、ということです。

いつもお伝えしている通り、身体のくせは、人それぞれ違います。

ある人が試してうまくいったことは、別の人にもうまくいくとは限りません。

もしあなたが、自分の演奏にリズムを感じられないことで、お悩みでしたら、自分の身体をよく観察してみて、身体のどこでリズムを止めてしまっているのか、を探してみてください。