音楽家が知っておくべき解剖の知識はこれだけ
こんにちは、川浪です。
最近、新しく解剖学書を購入しました。
分かりやすいように、手元にあった文庫本と並べてみました。
とんでもない大きさです。
この本は、筋肉や骨格だけでなく、内臓や神経などを含めた、人体解剖図を一冊で網羅しています。
演奏改善のために学ぶ解剖学としては、完全にオーバースペックだと思いますが、半分趣味ですね。笑
では、演奏改善のために、どこまで解剖を学ぶ必要があるでしょうか。
そもそも、演奏改善のために、解剖の知識は必要なのか、という議論がありますが、間違いなく知っておいて損はないです。
音楽指導者で、身体について正しい知識を持っている人は、ほとんどいません。
というか、音楽に限らず、身体について、巷で言われていることは???なことばかりです。
間違った知識や、イメージにもとづいて身体を使っていた場合、それをただ修正するだけで、動きが改善することも多いです。
では、演奏改善を目的とする場合に、学んでいく順番を解説します。
まず、知っておくことは、骨格についてです。
身体の知識というと、一般的には、筋肉のことをイメージする方が多いと思います。
筋トレでも「〇〇筋を鍛えるトレーニング」といった表現をします。
しかし、筋肉の働きは骨を動かすことです。
(正確に言うと、それ以外の筋肉もありますが、意識的に動かすことができないので、演奏にはあまり関係ありません)
というわけで、まず骨格がどのような構造をしているかが、知識の土台になります。
次に知ることは、関節についてです。
関節とは、骨と骨が連結するところです。
当たり前ですが、人間の身体は、関節があるところしか動きません。
そして、関節の箇所や、それぞれの動く方向、範囲は、基本的に共通しています。
ですから、関節について網羅することは、さほど難しくありません。
それが分かれば、最後に筋肉について、覚えていきます。
筋肉について知っておくべきことは、「起始と停止」「作用」の二つです。
筋肉は、基本的に骨から骨につながっています。
その始まりと終わりが、起始と停止です。
その筋肉が収縮することによって、関節がどのように動くか、というのが作用です。
これさえわかれば、例えば、ひじ関節を動かす筋肉、と調べてもらえれば、逆引きで必要な筋肉がわかります。
分厚い解剖学書を買う必要はなく、ネットで検索すれば出てきます。
筋肉は数が膨大なので、正直なところ、僕も網羅できているわけではありません。
広背筋とか、上腕二頭筋とか、一般的にもメジャーな筋肉から覚えていって、あとは必要に応じて調べていけばよいでしょう。
音楽家に必要な解剖の知識は、この程度です。
では、この知識をどのように活かすのかを説明します。
先ほども述べた通り、間違った知識を修正するだけで、身体の動きが改善する場合もありますが、解剖を学ぶ目的は、動きを分析するためです。
ドラムの演奏を例にあげます。
ドラムで大きな音を出したいと思ったときに、必要なことは、スティックを大きく振ることです。
人間の身体は、関節のあるところしか動かないので、そのために、どの関節を動かせばよいのかを考えます。
この場合、基本的には、腕の関節すべてが使えます。
あまりひじの関節を使ってない場合であれば、もっとひじを動かす必要があります。
では、ひじを動かす筋肉はどこか、という風に調べていきます。
あるいは「ドラムで大きな音を出すためには、胴体をしならせるといい」みたいな教えがあったとします。
やってみると分かりますが、胴体をしならせても、スティックは動きません。
つまり、こういう教えは、根拠が無いんだな、とも分かります。
つまり動きを分析するのは、
1,どういう演奏をしたいのかハッキリさせる
2,それを実現するためには、身体をどのように使えばいいのかを考える
3,それに対して、不必要なことをやっていればやめて、必要なことが足りなければそれをする
ということを、個別に考えていきます。
僕はこのプロセスで考えているおかげで、自分が演奏したことがない楽器の方でも、演奏改善のお手伝いができています。
また、現在は、よりよいレッスンを提供するために、ピアノ、ギター、ボーカルレッスンに通っていますが、もちろん自分の練習にも、このプロセスを活かして取り組んでいます。
このプロセスは一度でマスターするというものではありません。
レッスンを受講されている方も、毎回、このプロセスを繰り返し経験するうちに、徐々にこの考え方が身についていきます。
大切なことは、正しい考え方で、繰り返し取り組むことです。
ぜひこれを読んでいるあなたも、このプロセスを意識して、日々の演奏に取り組んでください。