音楽家が骨や筋肉といった解剖を学ぶべき理由とは
こんにちは、川浪です。
僕は、音楽家の方にレッスンするなかで、骨や筋肉についての説明をします。
「アレクサンダーテクニークとは骨や筋肉の勉強をするもの」と思われている方も多いと思います。
ところが、現実には、骨とか筋肉といった解剖のことはやらない(あるいは知らない)アレクサンダーテクニークの先生も多くいます。
そういう方は、解剖の知識なんかなくても、身体は思い通りに動くんだ、と言います。
その時に決まって出てくる例えは「野生の動物は解剖のことなんか知らない」とか「生まれたての赤ちゃんは自然な動きをしている」といったものです。
確かにその意見には一理あります。
しかし、残念ながら、私たちは、野生の動物でも、生まれたての赤ちゃんでもありません。
だとすれば、別の方法を探す必要があります。
もちろんレッスンで目指すところは、骨とか筋肉とか、そういったことが意識に上ってくることなく、思い通りに身体が動ける状態です。
その状態を目指すにあたって、まずは、なぜ思い通りに身体が動いていないのかを考えてみましょう。
先に答えをいってしまうと、身体について間違った情報を仕入れてしまったからです。それもたくさん。
生まれたての赤ちゃんが自然な動きをしているのだとしたら、それは何も知らないからです。
ところが成長するにつれて、たくさんの物事を学んでいきます。
その中には、役に立つこともあれば、役に立たないことあるわけです。
例えば、「背筋を伸ばすのが正しい姿勢だ」というもの。
こんなもの、百害あって一利なしです。
中には、背すじを丸めるのが正しい姿勢だ、という方もいますが、これも間違いです。
他にも、衣服によって、無意識に誤った身体のイメージを持ってしまうこともあります。
そでのあるところが腕で、ズボンのウエストから脚、と、なんとなく思っている人がほとんどですが、骨格をみると、まったく違うことがわかります。
例を上げていけば、キリがありませんが、重要なことは、私たちは知らず知らずのうちに、身体について誤った情報をたくさん仕入れてしまっている、ということです。
そのため、野生の動物や、生まれたての赤ちゃんのように、何も考えずに自然な動きをする、ということは、すでに不可能なんです。
まずは、その間違った情報を正しい情報に修正する必要があり、そのためには、骨や筋肉といった解剖のことを学ぶ必要があるのです。
解剖のことを学ぶ、と言われると、ハードルが高いと感じるかもしれませんが、何も分厚い解剖学書を、1ページずつ学んでいく必要はありません。
まずは全身の大まかな構造を知って、あとは必要に応じて、少しずつ学んでいけばよいのです。
中には、レッスンでたった一つの知識を得ただけで、その後の身体の使い方が全く変わってしまった、ということもあります。
そうやって、これまでの人生で身につけた、身体についての誤った情報を修正していけば、思い通りに身体を動かせる状態へ、一歩ずつ近づいていくことができます。