アレクサンダーテクニーク

頑張って息を吸っているのに、苦しいのはなぜか?


こんにちは、川浪です。

演奏と呼吸というのは、切っても切れない関係があります。

歌や管楽器はもちろんのこと、それ以外の楽器でも、フレーズを歌う時に呼吸を意識するのは重要です。

また、これまでレッスンでたくさんの方を見てきましたが、身体を固めてうまく演奏できない時には、同時に呼吸を止めてしまっていることが多いです。

あるいは、本番で緊張してしまう、という場合も、呼吸がうまくいっていないことがほとんどです。

それほど重要な呼吸ですが、正しい知識を持っている方は、本当にわずかです。

今回は、呼吸でよくある誤解について、説明します。

それは、

「鼻or口で息を吸っている」

というものです。

じゃあ、耳から吸うのか、というわけではありません。笑

呼吸の仕組みを簡単に説明すると「肺の大きさが変わることによって、空気が出入りする」ということです。

確かに、空気は鼻や口を通りますが、あくまでも通り道です。

鼻や口に、空気を出し入れする機能はありません。

しかし、なんとなく、鼻や口で空気を吸い込んでいる、と思っている方も多いはずです。

こういうイメージを持っていると、何が起こるでしょうか。

試しに、鼻から、思いっきり息を吸い込んでみてください。

おそらく、スーー、もしくは、ズーー、という音がしたと思います。

この音は、一体何かというと、空気の摩擦音です。

鼻から息を吸おうとすると、鼻の近くの筋肉を緊張させます。

筋肉を緊張させるということは、その筋肉は縮まって太くなります。

そうすると、鼻の穴=空気の通り道は狭くなり、その結果、抵抗が大きくなり摩擦音が生じるのです。

抵抗が大きくなると、吸うための努力がより必要になるので、頑張って吸っている感があります。

しかし、抵抗が大きいので、実際にはあまり吸えていません。

今度は、音を立てずに、鼻から息を吸ってみてください。

おそらく、さきほどより、吸っている感は少ないはずです。

しかし、実際には、抵抗が少ないので、たくさんの量を吸えていることが、分かるはずです。

このように、身体の仕組みについて間違ったイメージを持っているために、頑張ってやっていたことが逆効果だった、という例はたくさんあります。

これまでレッスンしてきて「そんなにがんばらなくてもよいことに気づきました」という感想をたくさん頂いているのは、そういう理由です。

あなたが演奏していて、頑張っているのにどうも上手くいかない、と感じているなら、まずは自分が身体についてどんなイメージを持っているのかを、確認してみてください。

そして、それが本当に正しいのかを確かめ、もし間違っていたら、正しく修正する、という作業を行っていくことで、演奏での不必要な努力を手放すことができます。

よくある身体の誤解については、今後も記事にしていきますね。