アレクサンダーテクニーク習得レベルの4段階
こんにちは、川浪です。
アレクサンダーテクニークのレッスンは、一度受講したからといって、すぐに問題が解決するような魔法の薬ではありません。
というか、そもそも世の中に魔法の薬はありません。
「これをやれば、すぐに上手くなる!」なんて言ってる人は、間違いなく詐欺です。笑
ですが、僕のレッスンを継続的に受講いただいている方の多くは、これまで抱えていた、痛みや緊張といった問題が解決したり、以前よりも音楽的に表現できることが増した、という経験をされます。
そのような経験を得るために、何年もかかるわけでもありません。
人によっては、数ヶ月でずいぶん変わったと感じる方もいます。
また、長い方は、もう何年もレッスンを受講されていますが、それでもレッスンの度に、新しい気付きがある、とおっしゃっていただけます。
というわけで、これまでレッスンをしてきた経験から、どのような過程を経て、身体の使い方を学んでいくのか、その段階を解説します。
其の一 身体の変化に気がつかない
まず、最初は、身体の変化に気づかない状態です。
これまで身体のことに意識を向けてなかった方は、レッスンで新しい体験をしても、そもそも変わったことに気づかないことがあります。
身体の使い方を学んでいく上で、まず自分の身体がどのような状態なのか自覚できるということが、最も重要です。
この段階は人それぞれで、初めから変化に敏感に気づける方もいます。
気づきにくい方でも、レッスンで、普段の身体の癖と、新しい身体の使い方を、繰り返し体験することで、徐々に自分の身体の変化に気づけるようになってきます。
其の二 演奏が変わってくるが、意識的にはできない
レッスンで、これまでの癖とは違う新しい身体の使い方を体験すると、演奏が改善されたと実感できます。
しかし、この段階ではまだ、普段の演奏でも、同じことができるとは限りません。
「レッスンでは、上手く演奏できたんだけど、一人ではできないなぁ」と悩む時期です。笑
なぜ、このような事が起こるかというと、
新しい体験は事後的に理解できる
からです。
「わかる or わからない」という感覚は、これまでの経験に照らし合わせて、判断しています。
つまり、新しい体験とは、文字通り、これまで経験したことがないので、どういうことなのか、わかりません。
しかし、新しい体験を繰り返すことで、これまでの自分の身体の癖と、新しい体験が相対的に認識できるようになり、後になって、こういうことだったのか、と理解できるようになります。
この段階が進んでくると、徐々に演奏が改善してきたと、感じられます。
しかし、この段階で、レッスンから遠ざかると、結局、元の癖に戻ってしまいやすいです。
其の三 レッスンで学んだ身体の変化を、普段でも意識的に再現できるようになる
僕のレッスンでお伝えしている、最も重要なコンセプトは、
「考えた通りに身体は動いている」
ということです。
この「考える」というのが、くせ者です。
一般的に「考える」というのは、言語、あるいは、音や映像などをイメージすることを指します。
しかし、身体を動かすための「考える」は、一般的な「考える」とは、別物です。
実際に、脳科学的にも、言語やイメージ、運動を司る脳の部位は、別々にあるとされています。
(今回は、この話の詳細は、割愛します)
この運動を司る指令が働いているのが、バシッと分かる瞬間が、いつか訪れます。
この段階にくると、「あ〜、川浪先生の言ってたことは、これだったのかぁ」と、きっと納得できます。笑
そして、レッスンで学んだことを、普段から意識的に使えるようになってきます。
また、レッスンで新しい体験をすれば、すぐに自分でも再現できるようになります。
つまり、一回のレッスンでの学んだことの歩留まりが、増してきます。
この段階に至るまでは、それなりの年月がかかりますが、僕の個人的な思いとしては、レッスンを受けるのであれば、ここまでは至って欲しいところです。
僕自身の過去を振り返ると、アレクサンダーテクニークを本格的に学び始めてから、この段階に至るのに、3年位はかかりました。
しかし、僕のレッスンを受講している方で、ものすごく勘の良い方であれば、一年弱でここに至る方も複数いらっしゃいます。
其の四 自分自身で、どんどん新しい身体の使い方を発見できる
僕のレッスンの目的を一文にまとめると
「自分の身体について、意識的にコントロールできる領域を増やしていく」
ということです。
ほとんどの人が、演奏なり、何かしらの活動を行う時に、自分の癖の範囲でしか、身体を使っていません。
つまり、あなたの身体には、もっともっと活用できる部分が残されているということです。
しかし、これを一人で発見するのは、とても困難です。
「自分で意識できていないところを、意識してください」
と言われても、簡単には出来ませんよね。
レッスンを受けていれば、僕からあなたに「ここも意識できますよ」とお伝えすることができます。
しかし、人から言われずとも、自分自身を客観的に見つめることが出来れば、意識できていないところを発見することができます。
現に、僕は、アレクサンダーテクニークのレッスンを受講しなくなって久しいですが、以前に比べると、身体の使い方は、日々改善しています。
レッスンを始めた当初は、僕のレッスンを受講する全員に、ここまで至ってもらおうという意気込みがありましたが、現在は、それは現実的ではないな、と思っています。
というのも、僕がここまで至ることができたのは、職業としてこのレッスンを行っており、24時間、身体のことばかり考えていられるからです。
また、仲の良い同業者と話していても、教えているからといって、必ずしもこの段階に至っているわけではないようです。
というわけで、それに費やす時間やエネルギーから、得られる効果を考えると、其の三の段階を目指すのが、もっともコストパフォーマンスが良いでしょう。
この文章を読んでいるあなたは、身体のことだけでなく、他に考えなければいけないことが、たくさんあると思います。
自分の演奏する音楽のこともそうですし、それ以外の日常的なことも山ほどあることでしょう。
冒頭に述べた通り、身体の使い方は、一朝一夕に身につけられるものではありませんが、レッスンに来ていただければ、身体の使い方について試行錯誤する時間を、圧倒的に短縮するためのサポートをさせていただくことをお約束します。